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『ドラえもん物語~藤子・F・不二雄先生の背中~』の作者は藤子・F・不二雄先生の元アシスタントであるむぎわらしんたろうさん。

F先生の人柄や漫画に対する思いが伝わってきて心の温まる本でした。

以下、感想です。



子どものころにドラえもんを好きになって、将来は藤子先生のような漫画家を夢見た作者のむぎわら氏。

ドラえもんと同じように押し入れで寝てみたり、タイムマシンがあるんじゃないかと机の引き出しに足をのせてみた幼き頃の作者。

机の引き出しにタイムマシンがあるんじゃないかと思って足を突っ込んでみるのは私もやったことがあります(笑)ドラえもんが好きな人だったら一度はやったことがあるんじゃないでしょうか


その後、19歳で藤子賞の佳作をとり、F先生のアシスタントにならないかと誘われたむぎわら氏。

通っている専門学校があと一年残っているにも関わらず、F先生の「手伝っていただけますか?」の言葉に専門学校を退学することを即断します(F先生は作者が現役で専門学校に通っていたことは知らなかったと思います)


漫画ではアシスタントとなった作者が、F先生がどんな人物であったかのエピソードをいくつか紹介します。




特に印象的なシーンをいくつか


・アシスタントだったむぎわら氏が描いた漫画をF先生に見てもらった時の話。

原稿のほぼ全てのページに気になった部分を指摘するメモ書き、さらに今後漫画を描くうえで大切なことを箇条書きにした紙をつけて、F先生がむぎわら氏に返します。F先生は大長編の執筆や取材等で忙しくて、尚且つ、この時むぎわら氏は入ったばかりのアシスタントだったとのこと。

入ったばかりのアシスタントにここまで真正面からしっかりと向き合うF先生。
F先生の温かさ、誠実さが伝わってくるエピソードです。





「せ…、先生ごめんなさい…。か…描けません…」の1コマ。
ドラえもんやのび太のメインキャラクターはF先生自身でペン入れをされるんですが、『のび太のねじ巻き都市冒険記』の執筆時にはF先生の体調が芳しくなく、メインキャラクターのペン入れもむぎわら氏に任されたという話です。

ずっとそばでF先生のキャラクターを見てきたにも関わらず、いざキャラクターのペン入れとなるとやはり勝手がちがうのでしょう。
このページには、むぎわらさんがペン入れした原稿も載っているのですが、確かに違和感みたいなものがあるんですよね……
見てるだけの私がそう感じるんですから、描いている本人、むぎわらさんにしてみれば相当にもどかしい気持ちがあったと推測できます。
「こんな絵じゃないのに…絵が違うのはわかるのに…どう描けばF先生の絵になるかわからない……」
そんな気持ちを感じ取れる一コマでした。





他に印象的だったのは、F先生がアシスタントたちに対しても常に敬語で丁寧に話されていることです。この描写からもF先生の性格の良さがにじみ出ています。


「その一本の線は温かみを感じました」
これはむぎわら氏がF先生のペン入れを見て思ったことです。
F先生の漫画といえば今までは面白さばかりに気を取られていましたが、そう言われて見返してみると確かに温かいんですよ。心がほんわかして優しい気持ちになれるんです。

才能は素晴らしくても人格が備わってない人物も世間には多いと思うのですが、F先生はF先生自身が持つ温かさが漫画にもあらわれているのじゃないでしょうか。



『ドラえもん物語~藤子・F・不二雄先生~』を読んで、わかったことが2つありました。

一つは、F先生がやさしさ、温かさ、誠実さに溢れた人であったこと。

もう一つは、作者のむぎわら氏がF先生のことを大好きだったこと。
それは上にあげたエピソードをはじめとして、作中に描かれているエピソード全てからひしひしと伝わってきました。


それほどまでに好かれていた藤子・F・不二雄先生。
残された作品の素晴らしさは言わずもがな、その人格も素敵で偉大で漫画家だったことに間違いありません。



『ドラえもん物語~藤子・F・不二雄先生~』
藤子・F・不二雄ファン、ドラえもんファンの方にはお勧めの作品です!!